玄関扉はアルミ製の引き違い戸でしたが、奥様のご希望で木製の片開きドアを製作することになりました。
水に強い米ヒバの縁甲板を縦張りした扉に菱形の小窓を設け、オーダーしたステンドグラスに防犯ガラスを重ね合わせたものを埋め込みました。
ロートアイアンのレバーハンドルに、何度も調色を重ねたダークグリーンを塗装して仕上がりです。

玄関には明り取りの小窓を東面に二つ新設し、こちらにもステンドグラスを埋め込みました。
朝日がステンドグラスを透過して鮮やかな彩りを加えます。

廊下は真壁作りから大壁に模様替えを行い、フローリングを張って各お部屋の入口はすべて上吊り引き戸に交換しました。
照明はダウンライトを等間隔に配置し、壁には手すり代わりの化粧板を取り付けることですっきりとした空間になりました。
※真壁と大壁…真壁（しんかべ）は柱が見える造り、大壁は柱の上からボードや合板を張って柱が見えない造りのこと。

かつて縁側だったLDKの入口には天井埋め込み型の上吊り引き戸を新設しました。
パナソニック「アーキスペック HIKIDO」シリーズの高級感あるフルハイドアです。

縁側を含む和室二間をLDKに間取り変更を行いました。
入口を玄関側と廊下側の2ヶ所に設けることで、回遊性のある使いやすい間取りになっています。

キッチンは元の水廻りから場所を変更して新設しました。（リクシル「アレスタ」W=2,550）
人造大理石のカウンターとシンクに、ガスコンロをIHヒーターに替えて食器洗い洗浄機を新たに組み込んでいます。

キッチンは中庭に面した和室を一部増築したスペースに設置しました。
屋根を支える新たな梁と柱は、それぞれ下がり天井と開口部のある袖壁として違和感なく仕上げています。

和室は一部の柱を残して梁補強を行ったうえで、垂れ壁や袖壁を撤去して約20帖の広いLDKに生まれ変わりました。
ダイニングテーブル設置予定箇所にはペンダントライトを、ピアノ設置予定箇所には床の構造補強を行っています。

屋根裏と壁の内側には現場発泡性断熱材「アイシネン」をすき間なく全面に吹き付けています。
自己消化性があり燃えにくい素材のため木造でも安心して用いることができます。

浴室も場所を変更してTOTOのユニットバス「サザナ」1616サイズを新設しました。
冷たいタイル張りのお風呂から断熱性能に優れ暖房乾燥機も備わった暖かな浴室へと生まれ変わりました。

洗面化粧台も場所を浴室の隣へ変更して新設しました。
浴室の入口には片引き戸を採用していますが、洗面台との位置関係により変則的な戸袋引き込み戸として対応しています。
ユニットバスにはTOTOの洗濯用お湯取りシステム「ノコリーユECO」をセットしていますので、スイッチひとつで洗濯機へ残り湯を注水することができます。

洗面化粧台はオーク（ナラ材）の無垢材を天板に使用した家具で製作しています。
水栓金具はCERAのアンティーク調湯水混合栓「JULIA（ジュリア）」をセレクト。
3面鏡収納の下部には間接照明を入れ、奥様が特別にオーダーされた手作りの陶器の鉢を設えました。

離れた場所にあって不便だったトイレは水廻りにまとめて新設しました。
TOTOの最上位機種「ネオレストAH」に手洗いカウンターキャビネットを設置しています。

応接間はご主人様の書斎へと間取り変更を行い、クローゼットと仏壇収納を新たに設置しました。
クローゼットは3枚連動引き戸、入口は柱を避けてアウトセット方式の上吊り引き戸としています。

仏壇収納の扉には軸回しと呼ばれる建具を製作しました。
通常は観音開きですが、片側の奥行きが浅かったため変則的な片開きとしています。
軸回し…仏間に設ける観音開きの扉で、扉を開いた状態で邪魔にならないようスライドして格納できる建具。

昔に増築された離れは新たに客間としてリニューアルすることになりました。
南側の中庭に面した腰窓を掃き出しサッシに入れ替えて出入りできるようにし、各所に手すりを取り付けて誰もが安心して泊まれるようにしています。

客間も一部を増築して洗面化粧台とトイレを新設しました。
洗面化粧台はリクシルのコンパクトドレッサー「エスタ」、トイレはTOTOの「GG」です。

中庭は土間コンクリートを打設した上に人工木ウッドデッキを敷き詰めてテラス屋根を架けました。
物干し場としての機能以外にもハンモックを吊るしての日光浴など、新たな用途に対応できるスペースに生まれ変わりました。

ウッドデッキは三協立山アルミの「ひとと木２」、テラス屋根は同じく三協立山アルミ「メニーウェル」の特注対応品。
熱線遮断ポリカボネート屋根をセレクトし、真夏でも暑くなりすぎず快適にお過ごしいただけます。

元のお庭は豊かな緑と石塀に囲まれた広い空間でしたが駐車場がありませんでした。
そこで日常生活に必要な自家用車を停めるスペースに加え、来客にも対応できる2台分のガレージを新たに設けました。

ガレージにはリクシルの電動ワイドオーバードアを新設、雨の日でも車から降りることなく車庫入れできます。
カーポートには三協立山アルミの「マイリッシュワイド」熱線遮断ポリカ屋根を設置、エントランスには三協立山アルミの「プロヴァンス1型」門扉を化粧コンクリートブロック塀に取り付けました。

隣家との板塀は撤去して新たにアルミ支柱を建て、その両側から厚さ15㎜の杉板を張って目隠し兼用としました。
交互にずらして張ることで光と風が抜け、タンネングリーンの木材保護塗料を塗って植栽との調和を図っています。

お庭の樹木は思い入れのある木は保存または移植を行い、その他は撤去したうえで生垣を新植して高麗芝を張っています。
植栽の面積を限定することでお手入れがしやすくなり、開放感のある明るいお庭に生まれ変わりました。

エントランスから玄関の中まで続くタイル舗装は幅を広げて段差をなくし、庭園灯を配置することで夜でも安心して通ることができます。
足掛け3年に及ぶプロジェクトでしたが、様々な課題をクリアしてようやくお引き渡しすることができました。