リフォームを志したキッカケ
会社を設立する数年前のこと、私の実家へリフォームの訪問営業がやって来ました。
おもむろにトイレや洗面所などを見て回り、なんとその場で見積書を作成して渡されました。
そのうえ「今日中に契約してもらわないと、この金額ではできません」とまで言い出す始末。
(今日しかこの金額でできない理由などありません。単に営業のノルマだけの問題でしょう)
しかしそう言われて出血大サービスと信じ、また近所でも実績があると言われて安心したのか、
業者の言うなりにその日のうちに契約してしまいました。(私はそれを契約後に聞かされました)
数日後、見積書を見せてもらったところ、その内容は業界ではおよそ信じられないものでした。
新しい機器の金額が書かれているものの、定価がわからない。(仕入れの掛け率がわからない)
調べてみるとその機器の金額は、なんと定価よりも高い金額なのです!
訳がわからず、とりあえずその業者に電話をしました。
見積書の内容について尋ねてみると、「それは機器本体に取付費が含まれています」とのこと。
「ではその下にある取付費の項目は何のこと?」と聞くと「大工さんなんかの手間賃です」
「じゃあ最後の方に書いてある大工手間の項目とダブってない?」「いや、それは他の工事の手間賃です」「他の工事って?」「だからそれ以外の細かい工事ですよ」「……」
そんなやり取りがしばらく続いたあと、「あと3万円だったら引けますよ」(意味わからん…)即クーリングオフしました。
また、同じころ、近くに住む親せきの家のリフォームを頼まれました。その叔母いわく「建物のことは何もわからないからお任せしたい 」とのこと。そう言われて私は「ギリギリの金額でできるだけのことをしてあげよう」と思いました。またいくら甥とはいえ、数百万円もの出費を言われるがままに出すしかない叔母が何か少し気の毒にも思えました。
でも、もし他の業者が叔母から同じことを言われたらどうするでしょうか?
親せきではないので商売が目的なのは当然として、同じように親身になってくれるでしょうか?
それとも専門知識がないのをいいことに、安いものを高い値段で売りつけたりするでしょうか?
結果はその業者しだいです。そう、すべてが「業者まかせ」の世界なのです。
このようなことがあってから、私は「リフォーム業界」の杜撰さ、未熟さを考えるようになりました。
もちろんそれまでも新聞やニュースなどで、「リフォーム詐欺」の問題は知っていましたが、
実際に自分の身近でそんなことが起こるなんて思いもよらないことだったのです。きっとこれは誰もが思っていることだろうと思います。
そうでなければ「リフォーム詐欺」や「オレオレ詐欺」など、とうになくなっているでしょう。
そんなことがあって私は、「適正な金額」で「適正なリフォーム」を、それもできるだけ知恵を絞ってコストダウンを図り、
少しでも安く提供できればと思うようになりました。もちろんそれは自分を育ててくれた地元への恩返しの意味もありました。
リフォームは一部の裕福な人や専門知識のある人だけの特権ではありません。
本当に困っている人や、自分や家族の生活が少しでも良くなるためにと願う人すべての権利です。
その権利を最大限生かして、本当にその人ためになるリフォームをすることがいまの私の目標です。